「動的検索広告とは?」
「DSAの設定方法についての情報を調べている」
この記事はそのような方向けに書いています。
こんにちは、SEMコンサルタントの今井です。
今回は動的検索広告についての情報を探している方が多かったので記事にしました。
動的検索広告の概要だけではなく、設定方法や効果的に使うポイント、相性のよい広告主について分かりやすく書いています。
ピンポイントで知りたい方のために目次を記載していますので、見たい項目をクリックすると便利です。
それでは解説していきます。
動的検索広告(DSA)とは
動的検索広告(DSA:Dynamic Search Ads)とは、検索キーワードの代わりに対象となるページ(=動的広告ターゲット)を登録し、自動的に広告を配信する設定です。
動的検索広告の最大の特徴は、広告見出しやキーワードの設定が不要ということです。
ウェブサイトのドメインや特定のページのURLを動的広告ターゲットとして設定するだけで、Googleがそのページ内の情報を自動的に読み取り広告を生成します。
【「動的検索広告」と「通常の検索広告」の違い】
項目 | 動的検索広告 | 通常の検索広告 |
---|---|---|
キーワード | – | ○ |
見出し | – | ○ |
説明文 | ○ | ○ |
リンク先URL | – | ○ |
動的広告ターゲット | ○ | – |
配信のプロセスは、ユーザーが検索する語句に基づいておこなわれます。
たとえば、ユーザーが特定の商品に関連するキーワードで検索した場合、動的広告ターゲットの情報から適切な見出しやリンク先URLが自動的に生成されます。
そのため、ユーザーの検索語句に関連性の高い広告が配信が期待できます。
- 動的検索広告のポイント
-
- 検索キーワードを登録しなくても自動的にユーザーの検索語句とマッチングして配信できる
- 見出しは自動的に表示される(説明文は設定する必要がある)
- リンク先URLも自動的に設定される
動的広告ターゲットとは
通常の検索キャンペーンでは「キーワード」を軸に広告掲載の有無を決定していますが、動的検索広告では「動的広告ターゲット」によって決めています。
動的広告ターゲットは大きく3種類があります。
1. すべてのウェブページ
この設定では、登録したウェブサイトのドメイン配下にあるすべてのページに広告を配信することができます。
たとえば、ウェブサイトの商品ページが膨大な場合、通常の検索広告ではブランドやカテゴリごとにキーワードを設定し広告文も個別に作成する必要があります。
しかしこの設定を利用すれば、各ページに個別設定をおこなう必要がなくなり運用の手間を大幅に削減できます。
「すべてのウェブページ」で下記のドメインを設定
www.example.com
ドメイン配下の全ページへ配信
https://www.example.com
https://www.example.com/services/
https://www.example.com/menu/ など
この設定は、広告運用において最も広範囲にターゲットをカバーする方法です。
ただし、この設定はターゲットが広範囲になるため、商品の関連性が低いページにも広告が表示される可能性があります。
したがって、特定のページやコンテンツを広告配信から除外する「除外動的広告ターゲット」の設定と組み合わせることが効果的です。
2. 特定のウェブページ
特定のURLや、特定のテキストを含むURLをターゲットにして広告を配信する設定です。
これは、複数のページが存在するウェブサイトで、一部のページのみに広告を表示したい場合に非常に有効な設定です。
URLによるターゲティングをおこなうことで、商品に関連しないページへの広告配信を避けることができます。
【設定できる項目】
- URL が次に等しい
- URL に含まれる文字列
- カスタムラベル(特定のURLでリストを作成)
商品購入には直接関係のないページを広告として配信することを防ぎ、広告の無駄を削減することができます。
「URL に含まれる文字列」でservicesを設定
配信されるページ
https://www.example.com/services/
https://www.example.com/services/menu/
配信されないページ
https://www.example.com
https://www.example.com/menu/
すべてのページを対象にする設定と比べると、より関連性の高いページへの配信が可能となります。
特定の商品ページやキャンペーンページなど、特に注目させたいページに広告を集中させたい場合はこの設定がおすすめです。
3. 特定のカテゴリ
動的検索広告では、URL以外にもカテゴリを使ったターゲティングの設定が可能です。
ターゲットにしたいカテゴリを選ぶことで、該当のカテゴリに属するページにのみ広告が配信されます。
Google広告からウェブサイトの情報をもとに提案されたカテゴリを利用することで、関連性の高いページに簡単に広告を配信することができます。
家電を取り扱うウェブサイトでテレビのカテゴリを選んだ場合
洗濯機掃除機冷蔵庫などに分類されるページには配信されない
提案されたカテゴリ以外で分類したい場合や、より詳細なターゲティングが必要な場合、自分で新しいカテゴリを追加することも可能です。
これにより、商品ラインやサービスに合わせた精度の高い広告配信が実現できます。
カテゴリ別の設定は、動的検索広告の柔軟性を活かし、特定のターゲットに対して効率的に広告を配信するための有力な手段です。
動的検索広告のメリット
動的検索広告のメリットは3点です。
メリット①:広告を作成する手間を軽減できる
動的検索広告の最大の魅力は、広告作成にかかる手間を大幅に削減できる点です。
通常の検索広告では、個別のキーワード設定や広告見出しの作成が必要となります。
一方で動的検索広告では、あらかじめ設定した動的広告ターゲットの情報に基づいてGoogleが自動的に広告文や見出しを生成します。
特に商品数が多いECサイトや、頻繁に商品ラインナップが変更される場合でも、広告の見出しやキーワードの更新にかかる時間を大幅に削減することが可能です。
例えば、数百以上の商品を扱うオンラインストアでは、通常の検索広告をすべて手動で設定するのは非常に労力がかかりますが、動的検索広告を利用することで、これを一括で自動化できます。
この効率化により、他の重要な業務にリソースを割くことも可能となります。
- ポイント
-
- 個別のキーワード設定や広告見出しの作成が不要
- 商品の入れ替わりが多くても自動的に更新される
メリット②:商品と関連性の高い広告を配信できる
動的検索広告のもう一つの重要なメリットは、ユーザーが検索した語句と関連性の高い広告を自動で配信できる点です。
これは、動的広告ターゲットの情報をもとに、Googleがユーザーの検索意図に最も合致する広告文やランディングページを自動生成するためです。
下記は弊社の運用事例です。
通常の検索広告と動的検索広告を同じ期間運用した結果、動的検索広告のクリック率が検索広告:7.06%、動的検索広告:10.21%いう結果となりました。
キャンペーン | 表示回数 | クリック数 | クリック率 |
---|---|---|---|
検索広告 | 8,500 | 600 | 7.06% |
動的検索広告 | 4,700 | 480 | 10.21% |
広告文やランディングページとユーザーの検索語句との関連性が高いと、広告のクリック率が上がるだけでなく、CV獲得にも繋がりやすくなります。
動的検索広告の活用により、商品ページやサービス紹介ページなど、最も関連性の高いコンテンツがユーザーに届けられます。
メリット③:新たなキーワードを発見することができる
動的検索広告は、通常の検索広告と同様にユーザーが実際に検索した語句を分析することが可能です。
これにより、広告主が事前に想定していなかった新たなキーワードや検索意図を発見する機会が得られます。
例えば、動的検索広告を運用する中で、特定の商品やサービスに関連した新しいニーズを持つユーザーが増加していることが見えてくるかもしれません。
このような情報は、今後の広告戦略や商品開発において非常に貴重です。
これにより広告運用だけでなく、ビジネス全体の戦略立案においても大きな強みとなることが期待できます。
動的検索広告と相性のよい広告主
動的検索広告と相性のよい広告主について解説します。
タイプ①:商品点数の多い広告主
商品点数が多い広告主は、動的検索広告と非常に相性が良いと言えます。
動的検索広告は、ウェブサイト内の既存のページ情報を基に広告を自動生成し、配信する仕組みです。
そのためウェブサイトの情報が多ければ多いほど、動的検索広告の効果が高まります。
動的検索広告は、充実したウェブサイトや大規模な商品在庫を持つ広告主様に最適です。ウェブサイトのコンテンツに基づいて広告の掲載対象を設定することで、キーワードに基づくキャンペーンではリーチできなかったユーザーにも広告を表示できます。
また商品ページが膨大な場合、動的検索広告を利用することで作業時間を大幅に削減できるというメリットもあるためです。
下記は弊社運用事例で、検索広告と動的検索広告での配信ページ数の比較です。
キャンペーン | 広告本数 | 対象リンク先 |
---|---|---|
検索広告 | 3本 | 各広告に対して1ページ |
動的検索広告 | 1本 | すべてのページ |
当初は1,000ページ以上ある商品のうち、検索の多い3つのカテゴリに分けて通常の検索広告にて配信していました。
動的検索広告では、全商品の情報を一括で管理できるようになり、詳細な商品名の検索にも対応できます。
他にも下記のような業種は動的検索広告と相性が良いと言えます。
【業種例】
- 人材
- 旅行
- 不動産
- EC
タイプ②:P-MAXで効果が出ていない広告主
動的検索広告が特に効果的なのは、P-MAXで効果が出ていない広告主です。
PMAX広告はすべての配信面(検索、ディスプレイ、ショッピングなど)に配信されますが、動的検索広告は検索画面のみに配信されます。
キャンペーン | 配信面 |
---|---|
P-MAX | すべての配信面 |
動的検索広告 | 検索面のみ |
しかし、P-MAXでGoogleショッピング面に広告掲載をするには、Google Merchant Centerへの登録が必要となります。
そのため、Google Merchant Centerに登録ができていない状態だと効果が十分に発揮できません。
また、商品の単価が高いと、ディスプレイ広告を配信しても購入までつながらない場合があります。
検索面で能動的に検索しているユーザーに集中して広告を配信することで、より効果的な配信が期待できます。
動的検索広告は配信面が検索面だけですが、検索広告の精度はP-MAXと同等です。
そのため、P-MAXで効果が出ていない広告主は、検索広告に絞る場合、動的検索広告と相性が良いと言えます。
動的検索広告の設定方法
動的検索広告の設定は以下の手順でおこないます。
1. キャンペーンを設定する
キャンペーンの設定の手順は以下のとおりです。
- Google広告の管理画面にログインする
- 左メニュー[キャンペーン] > [キャンペーン]タブ > [+]ボタン > [新しいキャンペーンを作成]を選択する
- [キャンペーン目標を選択] > 目標に合わせて該当する項目を選択する
- [目標を選択] > キャンペーンタイプで[検索]を選択する
- [目標とする成果を選択] > 目標に合わせて該当する項目を選択する
- [キャンペーン名]を設定 > [続行]を選択する
- [単価設定] > 目的に合わせて該当する項目を選択する
- [目標コンバージョン単価を入力] > [次へ]を選択する
- 地域、言語、予算を入力 > [次へ]を選択する
- キャンペーン設定を確認し、[キャンペーンを公開] を選択する
- [キャンペーン] > [キャンペーン]タブ > キャンペーン名の右横の[歯車マーク]を選択する
- [設定] > [動的検索広告の設定] > ウェブサイトのドメインを入力する
- [保存]を選択する
2. 広告グループを設定する
広告グループの設定の手順は以下のとおりです。
- [広告グループの種類] > [動的広告]を選択する
- 広告グループ名を入力 > [すべてのウェブページ]を選択 > [保存して次へ]を選択する
3. 広告を作成する
広告の設定の手順は以下のとおりです。
- [新しい広告を作成] > [動的検索広告]を選択する
- 説明文1と2を入力 > [保存して次へ]を選択する
動的検索広告を効果的に使うポイント
動的検索広告を効果的に使うポイントについて解説します。
ポイント①:自動入札と組み合わせる
動的検索広告は自動入札と組み合わせることで、最もパフォーマンスを発揮します。
下記は弊社の運用事例で、動的検索広告と目標CPA(=自動入札)を組み合わせることで目標CPA2,000円を達成した広告主様の事例となります。
CV | CPA | 表示回数 | セッション数 | |
---|---|---|---|---|
動的検索広告 | 618 | 1,899 | 76,389 | 10,352 |
- ポイント
-
- キーワードを網羅してくれる
- キーワードも入札も自動化すると効果が高い
【補足:おすすめの自動入札】
- 目標CPA
- コンバージョン数の最大化
ポイント②:広告を表示したくないページを除外する
動的検索広告は、すべてのページに対して広告が配信することができる一方、意図しないページが広告として配信されてしまう可能性もあります。
たとえば、プライバシーポリシーがリンク先として設定されると、ユーザーがその広告をクリックしても商品とは関係のないページに誘導されてしまいます。
その結果ユーザーは目的のページではないと感じ離脱する可能性が高まります。
このように無駄なクリックが発生することを防ぐため、除外動的広告ターゲットの設定が必要となります。
- ポイント
-
- 意図しないページが広告として配信することを防ぐことができる
- 無駄なクリックを防止し、予算を必要なページに集中させることができる
弊社での運用事例として、ECサイトの運用の際、動的検索広告によりすべてのページにて広告を配信していました。
商品ページが1,000ページ以上あり、検索広告にて個別に設定をおこなうのは難しかったためです。
しかし、運用を開始後もコンバージョンに繋がらないケースが多く、ランディングページとして配信されたページの確認をおこないました。
その結果、終了済みのイベントページ、ブランド紹介ページにも広告が表示されていたことが判明しました。
ブランド紹介ページは商品情報が少なく、ユーザーが目的の商品にたどり着く前に離脱してしまった可能性があると考えられます。
これらのページを除外する設定をおこなった結果、商品ページへの流入のみに絞ることができました。
その他にも除外したほうがよいページの例は下記のとおりです。
【除外するページの例】
- 会社概要
- プライバシーポリシー
- ブログやコラム
- 採用情報
- その他商品の購入や問い合わせに繋がりにくいページ
- 売り切れている商品やイベント期間の終了しているページ
ポイント③:除外キーワードの設定をおこなう
動的検索広告の運用において、除外キーワードの設定は極めて重要です。
通常の検索広告と異なり、動的検索広告では自動的にキーワードが生成されますが、ほったらかしにするのではなく定期的に除外キーワードを設定することが必要です。
意図していないキーワードを除外することで、無駄なクリックを防ぎ、広告の効果を最大化することができます。
定期的な見直しをおこなうことで、機械学習の促進にも繋がり効果的な配信をおこなうことができます。
除外キーワードについては以下の記事で解説しています。
» 除外キーワードとは?設定方法やマッチタイプについて詳しく解説
まとめ
本記事で解説した「動的検索広告(DSA)」は以下のとおりです。
今回の記事のポイントは下記のとおりです。
- ポイント
-
- 動的検索広告は、キーワードの設定など広告作成の手間を削減できる
- 特に商品点数が多い広告主は、動的検索広告と相性が良い
- 効果的な運用には、除外動的広告ターゲットや除外キーワードの設定が必要
今回は、動的検索広告の概要やメリット、効果的に運用するための改善方法について解説しました。
動的検索広告は手軽に広告を開始できる点が大きなメリットですが、運用開始後も初期の設定のままになっていることが少なくないです。
広告の効果が下がってきていると感じている方は除外動的広告ターゲットや除外キーワードの見直しをおこなってみてください。
定期的に設定の見直しをおこなうことで、動的検索広告の力を最大限発揮でき、広告の効果が改善されます。
ぜひ広告運用の参考にしていただければと思います。