
「リスティング広告で指名キーワードの広告出稿は必要か」
「指名キーワードと一般キーワードの違いを知りたい」
この記事はそのような方向けに書いています。
こんにちは、社長兼マーケターの中釜です。
運用型広告に携わり13年になりますが、指名キーワードを出稿するかしないかについては未だに賛否両論あるので記事にしました。
「指名キーワード」とは企業名やブランド名などの固有名詞を示すキーワードのことで、出稿するか否かは以下の3点をもとに判断する必要があります。
- 自社の知名度
- キーワードの特徴(同じ名前・似たような名前)
- 競合他社の出稿状況
指名検索したユーザーが他社サイトに流出することを防止できるメリットもある一方で、本来ならば自然検索から流入したであろうユーザーに対して無駄な広告費がかかるデメリットもあります。
本記事では、指名キーワードを配信する際のメリット・デメリット、効果的な運用方法についても詳しく解説しています。
ピンポイントで知りたい方は、以下の目次から見たい項目をクリックすると便利です。
【目次】
それでは解説していきます。
指名キーワードとは
指名キーワードとは、企業名やブランド名などを表す固有名詞のことで、「社名キーワード」「ブランドキーワード」とも呼ばれます。
指名キーワードと一般キーワード(非指名キーワード)の違いは下記のとおりです。
- 指名キーワード:社名・サービス名・固有商品名など固有名詞を示すキーワード。既に自社の商品やサービスを認知している場合に検索される(例:iPhoneAndroid)
- 一般キーワード:一般的に使用されており、対象を特定することはできないキーワード。商品やサービスの情報収集や比較検討をしている場合に検索される(例:スマホスマートフォン携帯電話)
指名キーワードは一般的にコンバージョン率(CVR)が高く、クリック単価(CPC)は安くなる傾向があります。
CVR | CPC | |
---|---|---|
指名キーワード | ○:高い | ○:安い |
一般キーワード | 低い | 高い |
指名キーワードを出稿するメリット
指名キーワードを出稿するメリットについて4点解説します。
メリット①:競合他社の1位掲載を防止できる
自社名を検索したときに、他社の広告が掲載されることがあります。
このような場合は広告を掲載しておかないと、本来は獲得できていたであろう新規顧客が他社に流れてしまう可能性があります。
Google広告の仕様上、他社側も意図せず広告が出てしまっている場合が大半なので、競合に対して自社名を除外してもらえないか依頼することを検討します。
問い合わせフォームから連絡する際は、以下のテンプレートをご参考ください。
【競合他社にメールを送る文章例】
突然のお問い合わせ失礼いたします。
弊社名▲▲を検索エンジンで検索すると、
連動して貴社のリスティング広告が表示されております。
恐らく関連キーワードのインテントマッチの拡張で表示されているとは存じますが、大変お手数ながら弊社サイト名および弊社名をフレーズ一致にて除外設定をお願いできますでしょうか。
可能であれば、対応後にご一報いただけますと幸いです。
▼除外設定を依頼したいキーワード
ーーー
キーワードA
キーワードB
キーワードC
キーワードD
ーーー
※Google、Yahoo!での設定をお願いいたします。
※すべてのキャンペーンに設定をお願いいたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
メリット②:検索結果の占有面積を拡大できる
指名キーワードが検索されたときに、自然検索のみの場合とリスティング広告を出稿している場合では、占有面積に大きな差が出ます。
占有面積が拡大することで取りこぼしをなくし、コンバージョン数を最大化できます。
以下のスクリーンショットで違いをご確認ください。
▼(左)自然検索のみ、(右)有料検索+自然検索
メリット③:同じ名前・似たような名前の対策ができる
同じ名前や似た名前の企業やサービスは数多く存在します。
似ている名前の企業やサービス名の場合、自社の広告を出稿していないと誤って別の企業やサービスに流れる可能性があるため、指名キーワードの広告出稿を検討します。
【指名キーワードの出稿を検討すべき場合】
- 同じ名前の会社やサービスがある
- 名前が似ている会社・店舗・サービスがある
メリット④:新商品や特定の商品を宣伝できる
指名キーワードに限らず、リスティング広告はリンク先URLを自由に設定できます。
例えば、知名度の高い会社や商品の場合、指名キーワードで新商品や特定の商品を宣伝するなど広告を有効活用することが可能です。
会社名やサービス名を検索した既存顧客に対して、まだ十分に認知されていない商品やサービスを効果的に売り出せるのは、指名キーワードのメリットと言えます。
一方で、知名度が低い場合は指名キーワードを設定しても、検索される機会が少ないため、自社の知名度に応じた適切なキーワード運用が重要です。
指名キーワードを出稿するデメリット
指名キーワードを出稿するデメリットとしては、無駄な広告費がかかってしまう可能性がある点が挙げられます。
指名キーワードで出稿すると、商品やサービスに対してすでに興味・関心があるユーザーに広告が配信され、広告を出さなくても自然検索から流入したであろうユーザーに対して広告費がかかるためです。
自然検索とリスティング広告の違いは以下のとおりです。
項目 | SEO(自然検索) | リスティング広告 |
---|---|---|
即効性 | 低い | ◯:高い |
クリック料金 | ◯:無料 | 有料 |
クリック率 | ◯:上位表示されると高い | 全体的に低い |
文言・リンク先の指定 | できない | ◯:ほぼ自由に設定できる |
指名キーワードを出稿するメリット・デメリットを把握した上で、配信すべきか検討する必要があります。
SEOとリスティング広告の違いについては以下の記事で詳しく解説しています。
» SEOとリスティング広告の違いとは?それぞれのメリットや併用について解説
指名キーワードの効果を最大化する方法
指名キーワードを出稿する場合、効果的なやり方を3点解説します。
1. タイトルに公式訴求を入れる
広告文に「公式」という文言を入れることで広告効果を最大化できます。
▼タイトルに公式訴求をした例
下記は広告見出しに公式訴求の有無を検証した事例になります。
訴求別 | CTR | CVR |
---|---|---|
公式訴求なし | 14.46% | 14.77% |
公式訴求あり | 20.25% | 22.75% |
- 配信結果
-
- クリック率:14.46%→20.25%に上昇
- コンバージョン率:14.77%→22.75%に上昇
公式訴求をおこなう場合は、広告見出しに文言を入れない(例:説明文に設定するなど)と効果が薄くなるので注意が必要です。
2. 広告アセットを網羅する
リスティング広告には、広告アセットという無料のオプション機能があります。
広告アセットを設定することで広告の画面占有率がアップし、クリック率を上昇させることができるので、原則すべて設定するようにします。
【設定しておきたい広告アセット一覧】
- サイトリンクアセット
- コールアウトアセット
- 構造化スニペットアセット
- 電話番号アセット
- 住所アセット(店舗)
- 価格アセット
- プロモーションアセット
- リードフォームアセット(BtoB)
主なアセットのひとつであるサイトリンクアセットでは、広告文のリンク先URLとは別に、サイト上にある特定のページにユーザーを直接誘導できます。
▼サイトリンクアセットの例
サイトリンクアセットについては、以下の記事で解説しています。
» サイトリンク表示オプションとは?設定方法やメリットを分かりやすく解説
3. 除外キーワードを設定する
「〇〇 キャンセル」「〇〇 退会」「〇〇 解約」など、ネガティブな理由で検索されている場合には広告が表示されても成果には繋がりません。
そのような広告表示を避けるために、ネガティブワードはあらかじめフレーズ一致で除外キーワードとして設定することをおすすめします。
【除外しておきたいキーワード一覧】
除外キーワードについて詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。
» 除外キーワードとは?マッチタイプや設定方法について詳しく解説
まとめ
本記事で解説した指名キーワードを出稿するメリット・デメリット、指名キーワードの効果を最大化する方法は以下のとおりです。
【まとめ】
本記事をまとめると下記のとおりです。
- 本記事のまとめ
-
- 「指名キーワード」とは企業名やブランド名などの固有名詞を示すキーワードのこと
- 出稿するかどうかは自社の知名度・キーワードの特徴(同じ名前・似たような名前があるか)・競合他社の出稿状況で決める
- メリットは指名検索したユーザーが他社サイトに流出することを防止できる点、デメリットは無駄な広告費がかかる可能性がある点
現在Google広告の仕様により競合他社ワードを設定していないにも関わらず、意図せず広告が表示される傾向にあり、思わぬ誤解やトラブルが発生しやすい状況と言えます。
仕様が改善されることが理想的ですが、もし自社名で競合他社の広告が配信されていたとしても、インテントマッチの拡張で悪意のないケースが多く、除外設定を依頼するなど冷静に対応する必要があります。
というわけで今回は以上となります。
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