
「リスティング広告は効果があるのか知りたい」
「効果が出るまでの期間を知りたい」
この記事はそのような方向けに書いています。
こんにちは、社長兼マーケターの中釜です。
リスティング広告に携わり13年になりますが、リスティング広告の効果についての情報を探している方が多かったので記事にしました。
リスティング広告の効果の特徴や配信開始までの流れ、メリット・デメリットを初心者向けに解説しているので、リスティング広告に興味があり配信を検討している方はぜひ参考にしてください。
すでに運用していて効果を上げたいという方は「【保存版】リスティング広告の成果を改善する方法10選」をご確認ください。
ピンポイントで知りたい方は、以下の目次から見たい項目をクリックすると便利です。
それでは解説していきます。
リスティング広告とは
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンにおける検索結果画面に掲載される広告のことです。
特定の検索語句に連動した広告を配信することができるため、ウェブ広告の中で最も費用対効果の高い広告のひとつです。
検索キーワードに連動して広告が表示されるため「検索連動型広告」とも呼ばれます。
▼検索連動型広告の掲載例
検索連動型広告の基礎知識については、以下の記事でより詳しく解説しています。
» 検索連動型広告とは?今さら聞けない基礎知識を分かりやすく解説
リスティング広告の効果
まずはリスティング広告の効果の特徴について解説します。
特徴①:効果が出るまでおよそ3ヶ月
リスティング広告の効果が出るまでにはおよそ3ヶ月かかります。
中には1ヶ月で効果が出たり、反対にどれだけ運用しても思ったように効果が出ないこともあるため、あくまでも目安ではありますが、まずは3ヶ月運用して効果を見極めることをおすすめしています。
下記は弊社が3ヶ月運用した出版社の広告主様の事例になります。
コスト | 表示回数 | セッション数 | CV | CPA | |
---|---|---|---|---|---|
1ヶ月目 | 289,113 | 35,132 | 1,516 | 14 | 20,651 |
2ヶ月目 | 297,335 | 38,281 | 1,643 | 15 | 19,822 |
3ヶ月目 | 301,998 | 42,996 | 1,725 | 17 | 17,764 |
月ごとにコンバージョン数(CV)が増加して、コンバージョン単価(CPA)が改善されていることが分かります。
3ヶ月間の運用をおこなうことで、データの蓄積により機械学習の精度も上がり効果が出やすくなるため、効果が出た場合はそのまま継続し、出なかった場合は原因を分析して改善をおこないます。
特徴②:最初の立ち上げが最も難しい
リスティング広告の効果は直線的に上がり続けるわけではなく、以下の図のように推移していくイメージとなります。
▼リスティング広告の効果推移イメージ図
効果が出始めて一定の地点に到達すると、変化が緩やかになります。
効果の出るアカウントを構築するためには、ノウハウが必要となるため難易度が高く、一方で効果の維持については初心者の方にもそれほど難しくありません。
広告初心者の方で自社運用をしたい場合は、最初の立ち上げの部分だけ広告の専門家の力を借り、効果を維持する運用は自分たちでおこなうという選択肢もあります。
特徴③:コンバージョン数が少なすぎると効果が出にくい
現在リスティング広告はAIによる機械学習を活用した運用が主流となっています。
手動での変更が少なくなり広告主側の手作業は減少しましたが、機械学習は「どのようなクリックがコンバージョンに繋がったか」というデータに基づいているため、コンバージョンが月に数件など極端に少ないと広告配信精度が低下します。
例えば、コンバージョン数が少ないと関連性の低い検索語句での掲載が増加してしまう傾向があります。
月30件以上を目安にコンバージョン数を確保し、機械学習がかかりやすいアカウント設計を意識することで、効果的な運用ができるようになります。
【リスティング広告におけるコンバージョン】
- 機械学習のための重要なデータ
- 月30件以上の確保
効果的なアカウント構成について詳しく知りたい方は下記をご参考ください。
» リスティング広告のアカウント構成とは?効果的な設計方法や注意点を解説
特徴④:売れていないものを売るのは難しい
リスティング広告はある程度コンバージョンが確保できているが、取りこぼしや無駄なクリックがある集客を改善するのに適しています。
現在全く売れていないサービスや商材をリスティング広告だけで一気に売れるようにするのは、現実的には難しいのが実情です。
当然ながら、広告配信によって購入に繋がりそうなユーザーの流入を増やすことは可能でも、最終的にはウェブサイトの使いやすさや商材そのもののアピール力が最後の決め手となります。
必要に応じてウェブサイトや商品自体の見直しをおこなう必要があります。
【リスティング広告の性質】
- 集客における取りこぼしを解消するのに適している
- 現在商品が売れていない場合は商品自体の見直しをおこなう必要がある
配信開始までの流れ
リスティング広告を始める際の流れについて解説していきます。
ステップ①:戦略策定
戦略策定においては、自社の商品やサービスの特徴を改めて確認した上で、どのようなターゲットに届けたいのかを決定します。
予算をどれくらいかけるか、どれくらいの成果を目指すかも決めておきます。
【戦略策定のポイント】
- 自社の商品やサービスの特徴を改めて確認し、ターゲットを明確にする
- 広告予算を決定する
- 利益目標を具体的に設定する
ステップ②:アカウントの取得
Google広告やYahoo!広告で広告を配信するためには、広告アカウントを取得する必要があります。
必要事項の入力に加え、Google広告の場合は会社の登記簿謄本や身分証を提出して広告主適格性確認を済ませたら、開設が完了します。
広告アカウントを開設したら、管理画面上からキャンペーンや広告グループを作成することができます。
【広告アカウント取得のポイント】
- 広告配信を開始するためには各媒体の広告アカウントが必要
- Google広告は広告主適格性確認を通して身分確認をおこなう
ステップ③:キーワードの選定
どのようなキーワードを検索しているユーザーに広告を表示したいかを設定します。
キーワード選定においては、掲載機会を逃すことがないようキーワードを網羅して選定することが重要です。
詳しい選定方法は以下の記事で解説しているので参考にしてください。
» リスティング広告のキーワード選定の手順とポイントを詳しく解説
ステップ④:広告作成・出稿
以上が完了したら、広告見出し、説明文、リンク先URLの3つを設定すれば広告を配信することができます。
ユーザーの検索意図を意識して設定することが重要で、例えば広告文に検索キーワードをそのまま入れることでクリックされやすくなり、リンク先のページも広告との一貫性を意識することで、コンバージョンに繋がりやすくなります。
【広告作成・出稿のポイント】
- 広告見出し、説明文、リンク先URLを設定する
- ユーザーの検索意図を意識して作成する
リスティング広告で効果を出すためのポイント
続いてリスティング広告において効果を出すためのポイントを4点解説します。
ポイント①:適切な目標設定
リスティング広告において効果を出すには、まずどれくらいの効果を目指すのかを明確に設定することが重要です。
目標設定方法としては、まず以下の計算方法を用いてコンバージョン1件当たりの費用(CPA)を算出します。
【計算方法①:目標CPA】
目標CPAと目標CV数を掛け合わせたものが1ヶ月間の広告費になります。
【計算方法②:広告費】
ポイント②:効果を見極める
「広告を配信してみたが目標を達成できていない」「もっと効果が出るのではないか」と感じる場合、各指標を業界平均と比較してみると課題点を洗い出すことができます。
例えばクリックからコンバージョンに繋がった割合を指すコンバージョン率(CVR)は高ければ高いほど良いとされています。
コンバージョンの定義によって大きく数値が変わるため比較が難しい指標ではありますが、参考までに以下が業界ごとのCVRになります。
業種 | 平均コンバージョン率 |
---|---|
ECサイト | 2.81% |
教育 | 3.39% |
雇用 | 5.13% |
テクノロジー | 2.92% |
金融・保険 | 5.10% |
家庭用品 | 2.70% |
健康・医療 | 3.36% |
出典:Google Ads Benchmarks for YOUR Industry [Updated!]
コンバージョン率が低いと感じる場合は、キーワード・広告文・配信ターゲットなどの見直しをおこないます。
このように指標を用いて効果を見極めることで、より具体的な改善方法を導き出すことが可能となります。
その他の指標と業界平均は以下のブログで詳しく説明しているので参考にしてください。
» リスティング広告でよく使う指標の計算まとめ【広告運用の基本】
ポイント③:コンバージョン計測環境を構築する
上記のとおりコンバージョンは、目標設定だけでなく効果の見極めにおいても重要な指標となりますが、そもそも正しく計測できていないと機械学習がうまく機能せず効果が出づらくなってしまいます。
コンバージョンを正しく計測することで、広告に対するアクション後のユーザーの行動(商品の購入や電話問い合わせなどをおこなったかどうか)を把握できます。
どのようなキーワードや広告がコンバージョンに繋がったのかというデータを蓄積することで広告配信精度も向上するため、正確なコンバージョン計測は欠かせません。
【コンバージョン計測の重要性】
- 正しく計測できていないと機械学習がうまく機能せず配信精度が下がる
- 検索語句や広告に対する効果測定
ポイント④:AIを活用する
以前は手動でできるだけ細かく設定をおこなうことが基本でしたが、現在は自動運用によってAIをうまく活用することが重要となっています。
運用を見直す際には、機械学習を最大限活かすことのできるアカウント設計となっているかという視点でおこないます。
除外キーワードの指定など、配信を絞り込むような運用は手動でおこなうことが多いという傾向があります。
▼AIを最大限活用するアカウント設計
リスティング広告のメリット
リスティング広告のメリットを3点解説します。
メリット①:少額で始められる
リスティング広告のメリットのひとつは少額予算でリスクを抑えて始めることができるという点です。
Google広告では例えば1ヶ月1万円で配信をおこなうことも可能です。
予算を抑えて始めたい場合は、配信地域や配信時間などを絞った上で、試しに1ヶ月間だけ配信することもできます。
【少額で始める際のポイント】
- まずは1ヶ月間、少額で配信してみる
- 配信地域や配信時間帯も絞る
リスティング広告の費用については、下記の記事で詳しく解説しています。
» リスティング広告の費用はいくら?相場と実際の決め方を徹底解説
メリット②:即効性がある
リスティング広告は最短即日でも配信を開始することができるため、今すぐにでも集客したい場合に適しています。
配信停止もすぐにおこなえるため、急な休業日などの事情もすぐに反映できます。
【リスティング広告の即効性】
- 最短即日でも配信を開始・停止できる
- すぐに集客したい場合に適している
メリット③:コントロール性が高い
リスティング広告においては、広告の配信開始・停止だけでなくキーワードの追加や広告の変更もいつでもおこなうことができます。
表示回数やクリック率といった配信成果の指標もいつでも管理画面上から確認することができるため、反響を見ながら細かな試行錯誤をおこなうことができるのはリスティング広告のメリットです。
▼広告運用のPDCA
リスティング広告のデメリット
反対にリスティング広告のデメリットを3点解説します。
デメリット①:効果を出すためには知識や経験が必要
少額で配信を開始できることもあり、リスティング広告を始めること自体は初心者の方でも比較的簡単ですが、効果を出すためにはある程度のノウハウが必要です。
管理画面から配信設定を細かくおこなえる高いコントロール性はリスティング広告のメリットでもありますが、全ての項目を正しく設定できているか把握するのは容易ではありません。
媒体アップデートに関する情報収集も常におこなっていないと最新情報に基づいた運用ができなくなってしまう点も、独学で運用する場合に難しい部分です。
【リスティング広告の難しさ】
- 効果を出すためにはある程度のノウハウが必要
- 全ての項目を正しく設定できているか把握しづらい
- 媒体アップデートに関して常に情報収集をおこなう必要がある
デメリット②:不向きな商品・サービスがある
リスティング広告を配信しても効果の出にくい商品・サービスがあります。
そもそも検索されることが少ない専門性の高い商材や日用品など単価の低い商品は、リスティング広告によって利益を拡大させることが難しい場合もあります。
【リスティング広告が不向きな商品・サービス】
- 検索されることが少ない専門性の高い商材
- 日用品など単価の低い商品
デメリット③:無駄なクリックによる費用が発生する
リスティング広告は、広告がクリックされるたびに費用が発生するクリック課金制になっています。
コンバージョンに繋がらないユーザーからクリックされたとしても費用がかかる点は、リスティング広告のデメリットと言えます。
除外キーワードの設定などの業務を定期的におこなって、無駄なクリックを減らすことが重要です。
【リスティング広告における無駄なクリック】
- 無駄なクリックが多いほど費用対効果が下がる
- 除外キーワードを定期的に設定する
除外キーワードについては下記の記事で詳しく解説しています。
» 除外キーワードとは?マッチタイプや設定方法について詳しく解説
まとめ
本記事で解説した「リスティング広告の効果」については以下のとおりです。
本記事をまとめると下記のとおりです。
- 本記事のまとめ
-
- リスティング広告とはGoogleなどの検索エンジンにおける検索結果の上部に掲載される広告のこと
- 効果の出るアカウント構築には広告運用ノウハウがある程度必要となるため難易度が高いが、効果の維持は初心者でもそれほど難しくない
- 少額開始できる手軽さと即効性が期待できる点がメリットで、効果を出すためには知識が必要な点と無駄なクリック料金が発生する点がデメリット
他の媒体やマーケティング施策と比較してリスティング広告が適しているかどうか検討する際に、本記事の内容をお役立ていただければと思います。
というわけで今回は以上となります。