
「リスティング広告の広告文の作成のコツが分からない」
「効果的な見出しやタイトルの作成方法が知りたい」
「文字数や使用可能な記号について調べている」
この記事はそのような方向けに書いています。
こんにちは、社長兼マーケターの中釜です。
運用型広告に携わり13年になりますが、リスティング広告の広告文についての情報を探している方が多かったので記事にしました。
今回はリスティング広告の広告文の効果的な作成ポイントについて解説しています。
そもそもどうして広告文が重要なのかという点から解説すると、リスティング広告の成果に大きく関わるからです。
- 広告文が関与する範囲
-
- クリック率
- 品質スコア(推定クリック率、広告の関連性)
- コンバージョン率
よく勘違いするポイントとして「自分は文章を書くのが下手だから…」とか「コピーライティングとかやったことないし…」などありますが、「中学生並みの文章力」があれば問題ないです。
なぜならば、リスティング広告は特殊なセンスが必要というわけではなく、テクニックを知っているかどうかだからです。
そのため、以下のような天才的なキャッチコピーを作る才能や能力は必要ありません。
- そうだ、京都へいこう(JR東海)
- 目のつけどころがシャープでしょ(シャープ)
- 「お、ねだん以上。」ニトリ(ニトリ)
ピンポイントで知りたい方のために目次を記載していますので、見たい項目をクリックすると便利です。
【目次】
それでは解説していきます。
リスティング広告の広告文とは
リスティング広告の広告文の概要について4点解説します。
1. 掲載場所と構成要素
リスティング広告の広告文とは、検索エンジンの検索結果ページ(SERP)やウェブサイト上に表示されるテキスト形式の広告のことを指します。
▼リスティング広告の掲載イメージ
検索連動型広告の広告文は、一般的に以下の要素で構成されます。
【広告文の構成要素】
- タイトル(見出し):ユーザーの目に最も入りやすい部分
例:「初心者向けSEO対策|今すぐ学べる無料講座」 - 説明文:広告の詳細を説明する部分
例:「無料で学べるSEO講座!基礎から実践まで動画でわかりやすく解説」 - 表示URL:ユーザーがクリックした際に遷移するウェブサイトのURL
- 広告アセット:電話番号・住所・サイトリンクなどを追加できる
検索広告で主流となっているレスポンシブ検索広告(RSA)では 最大15本の見出しと4本の説明文を設定し、Googleが自動で最適な組み合わせを選択します。
広告文には文字数制限(見出し30文字、説明文90文字)や記号使用の制限などがあるため、注意しながら作成する必要があります。
レスポンシブ検索広告の入稿規定については下記の記事で詳しく解説しています。
» 【最新版】レスポンシブ検索広告の入稿規定とポイントを解説
2. 以前と現在の違い
リスティング広告の広告文は自動化が進み、AIが最適化を担う時代になっています。
以前は運用者が1つずつ広告文を作成し、効果を見ながら手動で改善するのが一般的でしたが、現在では「レスポンシブ検索広告(RSA)」や「動的検索広告(DSA)」のように、AIが自動で広告文を生成・最適化する仕組みが主流になっています。
自動化により柔軟な最適化が可能になった一方で、広告ごとの詳細なデータ分析が難しくなったため、レスポンシブ検索広告の運用では個別の広告文のパフォーマンスを細かく検証するよりも、全体の効果を見ながら改善することが求められます。
広告文の作成や最適化はAIが担う部分が増えているため、「適切な見出し・説明文を準備する」「不要な情報を除外する」など、設計や管理に重点を置くことが重要です。
AIに任せきりにせず、掲載範囲の除外設定やパフォーマンスのチェックも欠かせず、リスティング広告の運用は、「人が考えるべき部分」と「AIに任せる部分」をバランスよく組み合わせることがポイントになります。
3. 広告文の重要性
リスティング広告では、広告文がユーザーの目に留まりクリックされなければ意味がないため、広告文の内容は広告の成果を大きく左右する重要な要素です。
クリック課金制のリスティング広告においては、クリック数だけでなく適切なユーザーが流入するかが大切なので、特定のユーザーのみをターゲットとしたい場合はそれを明記して、対象外のユーザーのクリックを防ぐ必要もあります。
例えば法人向けの商品であれば「法人向け」、高額商品であれば「高級」などと明記することで、対象外(この場合は個人のユーザーや安い商品を探しているユーザー)の流入を防ぐことができます。
広告文は集客の数だけでなく、質も高めるために重要な役割を担っています。
4. 実際の運用方法
リスティング広告は、配信してからの効果確認と調整が重要です。
効果を判断する際に目安とする指標は以下になります。
【効果判断の指標】
- アセット
- 広告の有効性
- クリック率(CTR)
- コンバージョン率(CVR)
見出しや説明文(アセット)ごとに「最良」「良」「低」などの評価が付けられるため、効果の高いアセットを活かして評価の低いものは見直して改善することで、広告のパフォーマンスを向上させることができます。
新しいバリエーションの見出しや説明文を定期的に追加し、どの組み合わせが効果的かを検証することも効果的です。
アセットだけでなく広告全体のパフォーマンスも「広告の有効性」として「優良」「良」「平均」「低」の4段階で評価されるため、「優良」や「良」の状態を目指し、多様な検索クエリに対応できるようアセットの種類を増やし、より具体的で関連性の高い表現を取り入れるなどの運用をおこないます。
Googleの評価だけでなく、クリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)といった実際のパフォーマンスデータも確認し、クリック率が低い場合はより訴求力のある見出しに変更し、コンバージョン率が伸びない場合はターゲットのニーズに合った表現に修正するといった工夫が求められます。
定期的に「ターゲットに適したメッセージになっているか」「広告として魅力的な訴求ができているか」という視点で調整をおこなって効果を最大化させます。
ポイント①:見出しにキーワードを入れる
検索クエリ(=ユーザーが実際に検索したキーワード)が見出しに含まれていると、ユーザーはその広告が自分の検索意図に合致していると感じて目に留まりやすくなります。
クリック率向上のために説明文ではなく、太文字で目立つ形で表示される見出しに検索クエリを入れることが重要です。
検索ユーザーはせっかちで検索結果画面をじっくり見てもらえないため、直感的にクリックしてもらう工夫が必要です。
【補足:Googleが提案する広告見出しの候補について】
- Google広告管理画面から「よく使われているキーワード」を確認できる
- 必ずしも精度の高い提案であるとは限らないため、最終的には運用者の目で確認する必要がある
(参考:レスポンシブ検索広告に関する広告の有効性について– Google広告 ヘルプ)
ポイント②:「特典」や「限定」を訴求する
お得な情報に敏感なユーザーは多いため、「特典」や「限定」の訴求もユーザーの目に留まりやすく効果的です。
ウェブ予約特典あり、初回限定など
広告で新規顧客に来てほしい場合は、特典をつけて選ばれる理由をつくり、見出しに入れることをおすすめしています。
下記は弊社の運用事例で、「特典なし」のパターンと「特典あり」のパターンをABテストした広告主様の事例となります。
訴求 | クリック率 | コンバージョン率 |
---|---|---|
特典なし | 3.00% | 1.12% |
特典あり | 4.96% | 1.99% |
- 考察
-
- 特典をつけるとクリック率:3.00%→4.96%に上昇
- コンバージョン率:1.12%→1.99%に上昇
特典をつけるなどの選ばれる理由づくりにもつながりますが、広告の作成には表現のセンスより商品理解が重要です。
【補足:広告作成における商品理解】
- ユーザーはどのような商品を求めているか
- ユーザーはなぜその商品を求めているか
- 自社の商品/サービスの付加価値は何か
- 競合に対する自社の強みや独自性は何か
- 競合が明示していない特徴を訴求できているか
- ユーザーに分かりやすく伝えることができているか
ポイント③:「数字」を入れて具体的に訴求する
数字を入れて具体的に伝えると、ユーザーは判断しやすくなり、分かりやすく効果も上がります。
○○29,800円から、○○セール50%オフなど
商品の購入において価格はひとつの基準になるので、価格訴求はもっとも効果的な訴求のひとつです。
下記は弊社の運用事例で、「価格なし」のパターンと「価格あり」のパターンをABテストした広告主様の事例となります。
訴求 | クリック率 | コンバージョン率 |
---|---|---|
価格なし | 5.27% | 1.26% |
価格あり | 7.08% | 1.07% |
- 考察
-
- 価格を入れるとクリック率:5.27%→7.08%に上昇
- 一方でコンバージョン率:1.26%→1.07%に低下
- 価格訴求をすることで必ずしもCVRが上昇するわけではない
ポイント④:「公式」を入れて訴求する
公式訴求は広告に対するユーザーの信頼度や信憑性、クリーンさを高めることができ、広告の効果を向上させることができます。
公式訴求をするのに効果的なのは以下の2点です。
- 指名キーワード
- 知名度のある企業
下記は弊社の運用事例で、指名キーワードで検索されたときの見出しに公式訴求をすると以下のように改善されました。
訴求別 | クリック率 | コンバージョン率 |
---|---|---|
公式訴求あり | 20.25% | 22.75% |
公式訴求なし | 14.46% | 14.77% |
- 考察
-
- 公式訴求をするとクリック率:14.46%→20.25%に上昇
- コンバージョン率:14.77%→22.75%に上昇
指名キーワードについては以下の記事でより詳しく解説しています。
» リスティング広告で指名キーワードは必要?効果的な運用方法も解説
ポイント⑤:アセットを設定する
アセットとは、広告にリンクや画像などを無料で追加できる機能のことで、広告の占有面積(=表示される幅)が広まり、クリック率が向上することが見込めます。
全部で15種類ありますが、おすすめは以下のとおりです。
【おすすめのアセット】
- サイトリンクアセット
- コールアウトアセット
- 構造化スニペットアセット
- 画像アセット
- 電話番号アセット
- 住所アセット(BtoC)
- リードフォームアセット(BtoB)
- ビジネスの名前
- ビジネスのロゴ
特にスマホで広告が表示される際、画像アセットは大きく表示されるため4枚以上の画像を設定することをおすすめします。
各アセットの文字数については以下の記事でより詳しく解説しています。
» 【2025年最新】広告表示オプション(アセット)の文字数一覧まとめ
ポイント⑥:レスポンシブ検索広告を1本設定する
広告グループごとに1つのレスポンシブ検索広告を設定し、広告の有効性は少なくとも「良好」または「優良」であることが推奨とされています。
【各項目の推奨事項】
(参考:レスポンシブ検索広告に関する広告の有効性について – Google広告ヘルプ)
ポイント⑦:ルールに従って作成する
広告ポリシーと呼ばれるルールがあり、違反すると広告を配信できなくなることもあります。
特に注意するべきポイントは2点です。
1. 医療・薬事系の規制違反
医療や薬事に関しては広告文およびランディングページともに、審査が非常に厳しくなっています。
特に医療系は審査が厳しく、繰り返し非承認になるとアカウント停止の事態を引き起こすので注意が必要です。
詳しくは以下の公式サイトで一度確認することを推奨します。
ヘルスケア、医薬品 – Google 広告ポリシー ヘルプ
2. 不実表示の使用
広告ポリシーの中でも悪質と判断される該当項目によっては、事前に警告なく広告アカウントが停止されてしまう場合もあるため注意が必要です。
悪質なポリシー違反(以下に定義)が認められた場合は、事前の警告なく直ちにアカウントが強制停止されます。
Google広告ポリシーに対する悪質な違反とは、違法行為またはGoogleのユーザーやデジタル広告のエコシステムに深刻な被害をもたらす重大な違反行為を指します。
出典:Google広告ポリシーによるアカウントの強制停止について – Google 広告ポリシー ヘルプ
ポイント⑧:関連性を重視する
検索クエリ・広告文・ランディングページの3点の関連性は、効果的な広告を作成する上で最も重要なことのひとつです。
検索クエリはユーザーのニーズを知るのに最適なため、広告テキストやランディングページの見直しに活用できます。
【検索語句を確認するメリット】
- 顧客の一番多いニーズは何か:検索量の多い検索クエリ
- ニーズに変化はあるか:新しい検索クエリ
ユーザーは検索したキーワードに関連する広告をクリックするため、ランディングページがユーザーのニーズと一致していない場合には離脱してしまいます。
広告だけでなく、ランディングページも定期的に見直すのが改善のカギです。
ランディングページ見直しのチェック項目 | |
---|---|
補足①:広告文はどのように運用すべきか
リスティング広告の運用方法について2点補足します。
1. ABテストをする
広告は作成して終わりではなく、下記の3点を考慮して場合によってはABテストをおこなうことが重要です。
【ABテストをおこなう際の注意点】
- テストの目的と対象を明確にする
- テストする内容を明確にする
- 十分なデータを収集する
複数の要素を同時に変更してABテストを実施すると、どの要素が結果に影響を与えたのかの特定が難しくなるため、テストする対象はひとつに絞ることをおすすめします。
下記は弊社の運用事例で、CV数がある程度確保できている(目安:案件により異なるが30件以上)場合に、ランディングページのABテストを実施した事例になります。
表示回数 | クリック数 | CV | CVR | コスト | |
---|---|---|---|---|---|
リンク先A | 481,444 | 2,604 | 71 | 2.73% | 110,221 |
リンク先B | 500,003 | 2,440 | 88 | 3.61% | 148,022 |
- 考察
-
- CVRの数値からリンク先Bのほうが成果が良いことが分かる
- リンク先Aを停止する/リンク先Aのランディングページを改善する/リンク先Cの広告を新規作成する(ランディングページ:リンク先Bを参考に作成)
2. アセットの「低」を改善する
定期的にアセットのパフォーマンスを確認し、評価が「低」になっているものを改善することで広告が最適化されます。
成果の悪いものは修正し、新しい文言およびアセットを追加していくとよいです。
パフォーマンス | 概要 | 修正可否 |
---|---|---|
最良 | 特に評価が高い状態 | 修正不要 |
良好 | 掲載結果が良好な状態 | 修正不要 |
学習中 | 評価に必要な情報を収集している状態 | 修正不要 |
保留 | 掲載結果の情報がまだ何もない状態 | 修正不要 |
-(未評価) | トラフィック量が不十分な状態 | 修正不要 |
低 | 特に評価が低い状態 | 要修正 |
(参考:レスポンシブ検索広告の広告単位のアセットレポートについて – Google広告ヘルプ)
補足②:競合の広告を分析する
競合他社の広告をチェックして分析するために、次の3つのポイントを意識することをおすすめします。
1. どのような訴求をしているのか
競合がどのような訴求をしているのか、主に下記3つのパターンのうちどれに当てはまるかを調査します。
競合がおこなっている訴求に被せたり、たくさん訴求を入れることが最適解ではなく、軸をひとつに決めてNo.1になれる分野で戦うことが重要です。
- 商品軸:商品の良さを伝える
- 手軽軸:誰でも簡単にできる手軽さを伝える
- 密着軸:親身になって対応など丁寧さを伝える
(参照:「ドリルを売るには穴を売れ」 青春出版社)
2. どのような文言を使っているか
競合の広告がどのような文言で訴求しているかも大事な分析ポイントです。
文言は業界によって特徴的な言い回しがあることもあるため、あらかじめチェックが必要です。
結婚式では「憧れ」や「幸せ」といった文言をよく使ったり、「プレ花嫁」といった業界ならではの文言もある。
競合がどのような広告を出しているかを確認する方法のひとつとして、Googleが提供している「広告の透明性について」というページの利用もおすすめです。
3. 会社名やサービス名を入れているか
広告に会社名や商品・サービス名を入れているかどうかもチェックするとよいです。
- 知名度のある企業は、会社名を入れたほうが有利
- 知名度が低い場合は、特典など別の訴求をしたほうが効果的
補足③:広告文の文字数や記号について
最後に文字数や記号についてもまとめたので、ご活用ください。
1. 文字数
Google広告とYahoo!広告のレスポンシブ検索広告の文字数は以下のとおりです。
項目 | Google広告 | Yahoo!広告 |
---|---|---|
見出し1~15 | 半角30文字(全角15文字) | 半角30文字(全角15文字) | 説明文1~4 | 半角90文字(全角45文字) | 半角90文字(全角45文字) |
パス1~2 | 半角15文字(全角7文字) | 半角15文字(全角7文字) |
(参照:Google 広告の仕様: 広告フォーマット、サイズ、ベスト プラクティス)
(参照:レスポンシブ検索広告とは – Yahoo!広告 ヘルプ)
2. 使用可能な記号
広告には使用できる記号とできない記号が存在し、使用できない記号を入稿すると非承認になります。
Google広告とYahoo!広告ともに感嘆符(!)の見出しおよびタイトルでの使用は不可です。
Google広告とYahoo!広告でルールが異なり、随時更新されるので、詳しくは以下の公式サイトでご確認ください。
まとめ
本記事で解説した「リスティング広告の広告文の作り方のポイント8選」についてまとめると以下のとおりです。
【まとめ】
本記事をまとめると下記のとおりです。
- 本記事のまとめ
-
- ユーザーが実際に検索したキーワードが見出しに含まれていると、ユーザーの目に留まりやすくなる
- 特典・数字・公式訴求・アセット・レスポンシブ検索広告を活用して、ユーザーの興味を惹く広告文を作成
- 広告は作成して終わりではなく、充分なデータを確保したうえでABテストをおこないながら最適化する
「数字や特典を入れて定量的にする」や「検索クエリ・広告・ランディングページの繋がり」は特に必要です。
ユーザー理解を深め、競合を把握し、繰り返しテストすることで、より効果的な広告が発見できるので、ぜひ参考にしてください。
というわけで今回は以上となります。