「ディスプレイ広告とは?」
「ディスプレイ広告の初心者向けの記事を探している」
「ディスプレイ広告の種類やメリットについて知りたい」
この記事はそのような方向けに書いています。
こんにちは、社長兼マーケターの中釜です。
運用型広告に携わり12年になりますが、ディスプレイ広告についての情報を探している方が多かったので記事にしました。
ディスプレイ広告の種類やリスティング広告との違い、ディスプレイ広告のメリット・デメリットについて初心者の方でも分かりやすいように書いています。
【用語の定義】
- ディスプレイ広告:ウェブサイトやアプリ上の広告枠に表示される広告
- リスティング広告:一般的には検索連動型広告とディスプレイ広告の総称(本記事では検索連動型広告と同義にて使用)
ピンポイントで知りたい方のために目次を記載していますので、見たい項目をクリックすると便利です。
【目次】
それでは解説していきます。
ディスプレイ広告とは
ディスプレイ広告とは、ウェブサイトやアプリ上の広告枠に表示されるテキスト形式やバナー形式の広告のことです。
バナー広告とディスプレイ広告の定義の違いが曖昧になることがありますが、正確に言うとバナー広告はディスプレイ広告の一種です。
【バナー広告とディスプレイ広告の定義の違い】
- ディスプレイ広告:ウェブサイトやアプリ上の広告枠に表示される広告
- バナー広告:画像で表示される広告で、ディスプレイ広告の一種
ディスプレイ広告の主な媒体は、Googleディスプレイネットワーク(GDN)と、Yahoo!ディスプレイ広告(YDA)です。
種類①:Googleディスプレイネットワーク(GDN)
Googleディスプレイネットワーク(GDN)とは、Googleの提携サイトやアプリ上の広告枠に表示される広告のことです。
【GDNの掲載場所(一例)】
- YouTube
- tenki.jp
- ITmedia
- 個人のブログ
- アプリ
種類②:Yahoo!ディスプレイ広告(YDA)
Yahoo!ディスプレイ広告(YDA)とは、主にYahoo! JAPAN内のサイトやアプリ上の広告枠に表示される広告のことです。
【YDAの掲載場所(一例)】
- Yahoo!ニュース
- アメーバブログ
- goo
- クックパッド
- 毎日新聞
リスティング広告との比較
リスティング広告とディスプレイ広告の比較は以下のとおりです。
リスティング広告 | ディスプレイ広告 | |
---|---|---|
掲載場所 | 検索結果画面 | 各媒体の提携サイト |
広告形式 | テキスト広告 |
|
配信方式 |
|
|
ターゲットユーザー | 顕在層がメイン | 顕在層がメイン(設定によって顕在層も可) |
クリック単価 | 高くなる | 安くなる |
比較①:費用感
課金方式はリスティング広告と同じで、クリックされた際に広告費が発生するクリック課金が原則です。
ディスプレイ広告にかける費用はターゲティング設定によっても異なりますが、例えばリマーケティングの場合は以下のようになります。
【検索広告とリマーケティングの予算配分イメージ】
- 広告費10万円 → 検索(10万円)のみ
- 広告費50万円 → 検索(45万円)+リマーケティング広告(5万円)
広告費10万円以下などと少額予算の場合はリマーケティング広告は配信せず、反対に広告費が数百万円以上の案件においては、リマーケティング広告に配分する割合が50%を超えるなど最適な配分が異なるため、効果を見ながら柔軟に調整します。
【費用感の比較】
- クリックされた際に広告費が発生するクリック課金が原則
- 予算規模や商材によってかける費用を調整する
比較②:運用方法
リスティング広告とディスプレイ広告の運用における違いとしては、ターゲティングとクリエイティブが挙げられます。
検索キーワードを軸に広告を出し分けるリスティング広告に対し、ディスプレイ広告には興味関心によるユーザーの絞り込みやリターゲティング機能があるのが特徴です。
ディスプレイ広告のクリエイティブ制作においてはランディングページとの整合性、訴求のインパクトや分かりやすさが重要で、必要に応じてABテストをおこなってより効果的なデザインを検証します。
【ディスプレイ広告の運用】
- ターゲティングではユーザーの興味関心やリターゲティングを用いる
- クリエイティブ作成においてはランディングページとの整合性、訴求のインパクトや分かりやすさが重要
バナーデザインについては以下の記事で詳しく解説しています。
» 【GDN・YDA】バナー広告の効果的なデザイン:事例解説付き
GDNとYDAの比較
GDNとYDAを配信精度と配信面の質の2点から比較して、解説します。
比較①:配信精度
広告配信精度においては、AIによる機械学習効果の高いGoogle広告のほうが高くなる傾向があります。
GDN | YDA |
---|---|
高い | 低い |
機械学習による精度の違いはディスプレイ広告に限った話ではなく、リスティング広告にも言えることですが、Yahoo!検索広告がGoogle広告の仕組みをベースとしているのに対し、ディスプレイ広告においてはYahoo!独自の仕組みを構築しているため、その差がより大きいと考えられます。
【GDNとYDAの広告配信精度の違い】
- Google広告は広告配信精度が高い
- ディスプレイ広告においてはYahoo!独自の仕組みを構築している
比較②:配信面の質
配信面の質に関しては、Yahoo!ディスプレイ広告のほうが高いです。
GDN | YDA |
---|---|
低い | 高い |
Googleディスプレイ広告の配信面は、Google関連サイトのみではなく、個人のブログや多様なアプリなど、Yahoo!ディスプレイ広告と比べて圧倒的に多く、質の低い配信面も少なくありません。
例えば誤タップ狙いの子供向けアプリに多数広告を配信したり、自己クリックで広告収益を得ようとする悪質な海外サイトに配信されています。
Yahoo!ディスプレイ広告は配信面の審査が厳しいため、配信面のクオリティがある程度担保されていると言えます。
【GDNとYDAの配信面の違い】
- 配信面の質はYahoo!ディスプレイ広告のほうが高い
- Googleディスプレイ広告の配信面の中には誤タップ目的のアプリや悪質なページもある
ディスプレイ広告のメリット
ディスプレイ広告におけるメリットを3点解説します。
メリット①:リターゲティング配信ができる
ディスプレイ広告は、リターケティング機能を活用できることが最大のメリットです。
一度ウェブサイトを訪問したことがあるユーザーに対して広告を配信すること。「リターゲティング」も「リマーケティング」も意味は同じ。
既に自社の商品やサービスに興味を持っており、購入に対するモチベーションが高いユーザーに対してプッシュ型で広告を配信できます。
例えば専門知識を要する求人サイトなどは、ピンポイントでターゲティングをおこなえる点が適している場合があります。
リマーケティングについては以下の記事でより詳しく解説しています。
» 【完全版】リマーケティングとは?基礎や仕組みを分かりやすく解説
メリット②:クリック数を稼ぎやすい
ディスプレイ広告は、検索広告よりもクリック数を稼ぎやすいという特徴があります。
広告配信の目的が商品購入などのコンバージョンではなく、クリック数の獲得である場合はディスプレイ広告が向いています。
クリック数のみに着目して目標設定をおこなうのは広告配信において本質的とは言えない上に、ディスプレイ広告のクリックは誤タップなど質が悪いことが多いですが、特に大手企業や官公庁などに特有の個別事情によって広告のクリック数を目標にしなければならない場合があります。
そのような場合はリスティング広告よりもディスプレイ広告のほうがクリック数を稼ぎやすく、求められた成果を出しやすいと言えます。
【ディスプレイ広告のクリック数】
- 検索広告と比較してクリック数を稼ぎやすい
- 個別事情により広告配信の目的がクリック数の獲得である場合はディスプレイ広告が向いている
メリット③:クロスメディア戦略に活かせる
クロスメディア戦略とは、ウェブ広告やテレビCM、ポスターなどさまざまなメディアを複数活用するマーケティング手法のことです。
ひとつの広告媒体だけでなく、様々な広告媒体で商材に触れてもらい、単純接触効果によって消費者に商品やサービスをより身近なものと感じてもらうことが目的です。
ディスプレイ広告のみではなく、例えば電車内の広告のようなオフライン媒体と掛け合わせることで、一気に商材に対する安心感を高めることも可能です。
【クロスメディア戦略】
- ウェブ広告やテレビCM、ポスターなど様々なメディアを複数活用するマーケティング手法
- ディスプレイ広告とオフライン媒体と掛け合わせることで商材に対する安心感に繋げる
ディスプレイ広告のデメリット
ディスプレイ広告のデメリットについても3点解説します。
デメリット①:広告が見られる割合は低い
ディスプレイ広告がどのくらいユーザーに見られているかという指標として、視認可能率があります。
視認可能率とは広告の面積のうち50%以上が画面に表示され、1秒以上表示された割合のことですが、あくまでも視認可能な割合であって、実際にユーザーが広告を認知した割合ではありません。
(参考:視認性とアクティブ ビュー レポートの指標について – Google広告 ヘルプ)
実際にユーザーが広告を見ている割合を測ることはできませんが、50%~60%前後となることが多い視認可能率よりはるかに低く、またクリックも半分以上は誤タップの可能性が高いと推測しています。
少しでも広告を見てもらい、ディスプレイ広告において効果を出すためには特にリターゲティングを用いたターゲットの絞り込みが欠かせません。
【ディスプレイ広告の視認可能率】
- 広告の面積のうち50%以上が画面に表示され、1秒以上表示された割合のこと
- 実際にユーザーが広告を認知した割合は視認可能率より大幅に低い
ターゲティングについては、以下の記事をご参考にしてください。
デメリット②:広告費のコントロールが難しい
ディスプレイ広告は自動入札が主流となった現在では、広告費のコントロールが難しくなっています。
広告費が予想以上に早く消化されてしまう場合があるため注意が必要です。
以下は1日の広告費を5万円に設定して、1日目の22時から2日間配信をおこなった結果、2日とも1時間以内に1日分の予算を使い切ってしまった運用事例となります。
CV | 表示回数 | セッション数 | CTR | コスト | |
---|---|---|---|---|---|
22時 | 0 | 156,449 | 376 | 0.24% | 49,176 |
23時 | 0 | 0 | 0 | 0.00% | 0 |
0時 | 0 | 215,701 | 386 | 0.18% | 43,591 |
1時 | 0 | 0 | 0 | 0.00% | 0 |
2時 | 0 | 0 | 0 | 0.00% | 0 |
- 考察
-
- 1日目は配信開始後(22時~)、1時間以内に1日分の予算(5万円)を使い切った
- 2日目も同じく配信開始後(0時~)1時間以内で1日分の予算(5万円)を使い切った
以上のような場合は配信を停止するか、広告費を増やす、または配信面を絞り込むなどの対策が必要になります。
デメリット③:掲載面でイメージが悪化する場合がある
ディスプレイ広告は掲載面が多く、ニュースサイトなどにおいて政治的要素や国際問題を扱うページに広告が掲載される可能性もあります。
そのようなサイトにディスプレイ広告が配信されることにより、場合によっては自社のイメージが悪化し、稀にクレームに繋がることもあります。
AIを活用した運用が主流になっている現在では、意図せぬ配信面をあらかじめ完全に取り除くことは難しいですが、掲載面をこまめに確認し、自社にネガティブな影響を与えそうな配信面を見つけたら除外することをおすすめします。
【掲載面によるイメージの悪化】
- 掲載面によってはイメージの悪化やトラブルに繋がることもある
- 掲載面をこまめに確認し、ネガティブな影響を与えそうな配信面は除外する
ディスプレイ広告の効果を上げるポイント
ディスプレイ広告の効果を上げるポイントを2点解説します。
ポイント①:リターゲティングを活用する
ディスプレイ広告の最も大きな魅力はリターゲティング機能です。
効果的なリマーケティングのポイント | |
---|---|
以上のポイントを押さえて活用することで、より効果が出やすくなります。
リマーケティングの効果的な運用については以下の記事でより詳しく解説しています。
» 【最新版】リマーケティングの効果を見直す11の施策
ポイント②:プレースメントを精査する
前述のとおり、特にGoogleディスプレイ広告においては配信面が多く、中には誤タップを誘導するような悪質なサイトやアプリの表示も含まれます。
そのため、管理画面上から広告が掲載されているサイトやアプリを確認し、悪質だと判断した場合はそれらを除外していく必要があります。
除外キーワードの運用と同じ感覚で配信先を定期的に精査することをおすすめします。
【プレースメントの精査】
- Googleディスプレイ広告の配信面には悪質なサイトやアプリもある
- 管理画面上から掲載サイトやアプリを確認し、質の低いものを除外していく
参考:ディスプレイ広告のこれから
結論から言うと、弊社では以前よりディスプレイ広告を積極的に実施することは少なくなっています。
理由としては、配信面の質やコントロール性の低さを考慮すると、デメリットがメリットを上回っていることが挙げられます。
現在リスティング広告を配信していて新規出稿先を探しているという方は、個別事情によりクリック数を稼がなければならないなど一部の場合を除いて、Meta広告などのSNS広告を積極的に検討してみることをおすすめします。
【これからのディスプレイ広告】
- 配信面の質やコントロール性の低さといったデメリットがメリットよりも大きい
- Meta広告などのSNS広告を積極的に検討してみることもおすすめ
まとめ
本記事で解説したディスプレイ広告についての内容は以下のとおりです。
【まとめ】
ディスプレイ広告の特徴をまとめると以下となります。
- ディスプレイ広告の特徴
-
- 種類はGDNとYDAの2種類
- リターゲティング配信ができる
- 配信面が多く、掲載のコントロールが難しい
ディスプレイ広告が自分たちに合っていると感じた場合は、本記事のポイントを参考に活用してみてください。
というわけで今回は以上となります。